ショッピング同行・パーソナルスタイリングの心構え、というと大げさですが、パーソナルスタイリングを成功に導くためポイントを、先回ご感想を紹介させていただきました
★「罪悪感や後悔なく、新しい一歩を踏み出せました」Y.S.様 40代/ 兼業主婦
のケースを参考に考察してみました。ご利用を検討されている方や、既にご利用いただいている方のご参考として頂ければ幸いです。
■「一歩を踏み出す」と肚をくくる(エッジ越え)
「エッジ越え」というのは、コーチングをスタイリングに取り入れている私の先生から教わった言葉で「境界線を超える」という意味です。従来の自分の枠を超えて新しい領域に踏み出していくこと。パーソナルスタイリングを依頼されるということは、ご自分のファッションを見直し、新しい自分の装いの在り方に出会うことですね。その際、それまでのご自分の世界にはなかった価値観や、体験したことがない感覚にも出会います。時としてそれらがハードルとなって前に進むのが難しいことも、たくさんのお客様にお会いする中で経験しました。
一番大きいのはやはり金銭面のこと。Y.S.様から頂いたコメントにもありました。
人生でこんなに一気に自分の事にお金を使った年は初めてです。
それも後悔や罪悪感なく、 新しい一歩を踏み出せたことに感謝します。
それまで使ったことのない金額をお洋服にかけること。自分のために安くはないお金を一度に使うこと自体が初体験で、抵抗を感じる方も少なくないと思います。
「洋服を買うのにお金がかかる上に、スタイリストさんに何万円も支払わなきゃいけないなんて、セレブじゃない自分には贅沢なのでは?」
「モデルや芸能人でもない、普通の外見の私がお洒落にそんなにお金をかけてもいいのかしら・・?」
おっしゃる通り、パーソナルスタイリングは決して安価なサービスではないので、一時の楽しさや贅沢のために支払う対価としては高額です。「浪費してしまった」と感じれば罪悪感も出てくることでしょう。けれども、Y.S.様に起こったような数々の良い変化や感動、自分に自信が持てる感覚。Y.S.様は「新世界」と表現してくれましたが、そんな結果が得られればスタイリングは高い費用対効果が得られます。
Y.S.様は、スタイリングは単なる「消費」や「浪費」ではなく「自分への投資」とお考えくださったのではないかと私は勝手ながら思っています。「投資」と考えれば、お金をかけるべきところでは思い切って頂くこともできます。限られた予算でもコストパフォーマンスを最大限にしたい、という気持ちはお客様も私も同じです。またご予算の範囲内で要望にどれだけ応えられるかというのがスタイリストの腕の見せ所なのですが、コストを削ろうとする方向だけに心が向いてしまうと選択肢が狭まってしまうのも事実なのですね。
さて、金銭面の他に大きな「エッジ」があるとすれば、それまでの自分の好みや、慣れ親しんだスタイルを一旦手放すことかなと思います。ご自分の好きなスタイルが確立されていればいるほど、それが壁のようになって新しいスタイルを受け入れるのが難しくなることがあります。Y.S.様のように真っ赤なニットを着たことがなかったという方の他、これまでのお客様の中には、
- スカートをはいたことがない
- ワンピースを着たことがない
- 白のボトムは絶対無理と思っていた
- 自分にはけるワイドパンツがあるとは思っていなかった
- ボーダーを着たことがない
- シャツは似合わないから持っていなかった
・・・数えあげればきりがないほど、個々人の「ある」「なし」はバリエーション豊かです。
そこから新しいコーディネート、新しい自分のスタイルを作っていくには、思い込みを捨て、従来のご自分のやり方を一旦棚上げしてチャレンジしてみることが、どこかで必要になります。持ってるお洋服を捨てなさい、というのではなく、気持ちの上で一時的に離れてニュートラルになってみることが肝心。程度の差はあれど、これはお客様の全員が経験されるプロセスといってもいいと思います。
ですので、パーソナルスタイリングでは「これは違うな」と思っても、とりあえずは試着してみるようお願いしています。着てみてもどうしても違和感がある場合は買う必要はありません。見慣れないお洋服ゆえに良し悪しの判断もつかないこともありますので、そういう場合はその場で無理することは私はないと思っています。初めて着てみたら、なんだかイイ!と感じられることももちろんあります。それこそが迷わず購入するアイテム(^_^)
ただ注意しなければならないのは、限界は超えさえすればいいというものではないということ。初めて着るタイプの高価なお洋服、その時のテンションや場の空気に押されて買ってしまったけれど、その後でなぜか着なくなってしまう、ということも起こり得るんですね。せっかくエッジを超えたのに、そうなってはスタイリングは失敗。普通の衝動買いと変わらなくなってしまうんですね。
これは、センスに自信のあるおしゃれなお友達にお洋服をセレクトしてもらった場合にも起こりがちな状況です。「これくらい華やかなものを着てみたら?」「幅が広がるよ」などと励まされて背中を押してもらったのに、クローゼットの肥やしになってしまったのでは悲しいですよね。そういったケースの原因は、そのお友達には似合うけれどあなたに似合う洋服ではなかったり、センスのいい素敵なコーディネートであっても「あなたの」ライフスタイルや価値観に合っていなかったりすることがほとんどです。パーソナルスタイリストは服装のプロフェッショナルとして、あなたに似合うものを客観的に見ています。また、どんな場面で着るお洋服か、あなたがどんなことを大切にしているか(価値観)を理解した上で、なぜそれがおすすめなのか、他ではダメなのか、を納得して買っていただけるよう心がけています。
そのためにお客様にもチャレンジしていただきたいのが、次の項目です。
■ショッピング同行は「セッション」
ショッピング同行中は、私からご提案内容と試着するアイテムについての説明をしながら、他にも気になるものがあれば「これは試着していいですか?」とか「こういう服は似合いますか?」「この中で一番似合うのはどれですか?」など、その場で質問していただくようにお客様にはお願いしています。パーソナルスタイリングがオススメアイテムの提案のみで済むのなら、スタイリング自体メールのやりとりだけで完結できるでしょう。それでも敢えてショッピングに「同行」するのは、実際に現場であれこれとやりとりしながら、お客様と私で一緒に確認しながら、ということに意味があるからなのですね。ショッピング同行にはそんな「セッション」のような側面があります。
セッションであるショッピング同行を最大限に活用するためのお客様側の質問の仕方を、メンタルコーチの小島佳織さん(かおりーた)が解説してくれたブログ記事があります。かおりーたによると
使える知識にしていくためには理論と体験、体感を紐付けることがすごく大事。それには、ショッピング同行が最高のシチュエーション!
なのですが、そうなるための質問にはコツがあるということと、そのポイントを質問のプロであるコーチとして伝授してくれました。
結論だけ言いますと、ショッピング同行中に紹介されるものなかで
◉私が一番おすすめのアイテムについて「なぜ、それを選んだか?」を尋ねること
そして、それよりも重要なことは
◉私が選ばなかったアイテムについて「なぜ、それを選ばなかったか?」を尋ねること
です。これは極意といってもいい内容かも・・!
詳しくは、カオリーヌ、最大の活用法 をぜひご一読ください(^o^)
■ショッピングは一度で終わっても、スタイリングはロングスパンで
今まで着たことのない服を買った、というだけなら一回の変身体験になってしまいますが、それで終わらせないためは、スタイリングを長期的に捉えていただくことも大事だと思います。お買い物は終了しても、あなたのファッションスタイルを形づくる「スタイリング」はまだ終わりではなく、むしろお買い物の後が本番です。
上にエッジ越えについて書きましたが、新しい世界にエイッと飛び込める方がいる一方で、ショッピング同行で買ったお洋服を着て外出するまでに何週間かかかったというお客様もいらっしゃいます。肚を決めて新しく買ったお洋服も、着なければその真価は発揮されません。Y.S.様はそのあたりがとても柔軟で潔く、購入された服をその日のうちにご家族に披露し、翌日からも新しい装いでどんどん外に出て行かれましたので(^_^)
なかなか着る勇気の持てない服があったとしても大丈夫。新しい自分に向き合う時間と考えてロングスパンで捉えてください。新しい服に身を包んでみたり、できなかったりしながら、ショッピング同行までにお伝えした、似合う/似合わないのこと、お洋服の選び方、コーディネートのテクニック、お買い物の仕方などを振り返って、ご自分の中に根付かせていったり、試行錯誤の時間にしていただけると良いと思うのです。その過程でどうしても「何か違う」が残ってしまうものは取り入れなくても良いんです。この時間があるからこそ、ショッピング当初は劇的に変わったけれど、すぐに元の自分に戻ってしまうという「リバウンド」も少なくなります。
Y.S.様からは、ショッピング同行終了後も分からないことがあればその都度、メールで質問をいただきました。(※弊社のパーソナルスタイリングメニューには、メールでのアフターフォローがついています)
ご質問内容は
- (ご紹介したL.L.Beanのトートバッグについて)サイズがいろいろありますが、
どのサイズが似合いますか? - (お手持ちのジャケットとシャツについて)このシャツは合わせとしては変ですか?
- 高尾さんが使っていらしたマフラーの柄のストールがあったらいいかなと思うのですが、
マフラーの方が使いやすいですか? - サイドゴアブーツはノーマルのものと柄の入ったものだったらどちらが良いでしょう
か? - 合わせる靴や合わせるカバン、
似合いそうな髪型の見本を紹介してください。
などなど。後日出てきた疑問点は、Y.S.様のように遠慮なく訊いていただきたいと思います。そうしながら、ショッピング同行の当日は時間的・予算的な理由で購入しきれなかったアイテムを、一つ一つ買い足していけばワードローブも揃っていきますから。その際にも迷うことがあればなるだけ具体的にアドバイスとフォローをさせて頂いています。
ここまでの要点をおさらいしましょう。
- 「エッジ越え」の覚悟ができているほど変化は早い
- ショッピング同行は「セッション」と心得て質問すべし
- スタイリングはロングスパン。すぐに結論が出せなくてもいい
いかがでしたでしょうか。スタイリングが良い結果につながったり、リバウンドがなかったお客様の共通点は、一言でいうと、サービス実施後にもスタイリストと何らかの接点を持ってくださったことかもしれません。Y.S.様のように、季節が変わった頃にリピートしていただくのも大変有り難いですし、セミナーやイベントに参加していただくのも違った形、違う角度から学べる機会です。また、メールで質問をしていただくことも、新しいお洋服を着たらこんなことがありました、というご報告をして下さることだけでも良いので、ぜひご活用ください。
《参考記事》
■連載『カオリーヌの活用法』全7回 小島佳織さんのブログで、パーソナルスタイリングを受ける上での心得をユーモアたっぷりに解説してくれています。実況中継のように綴ってくれましたので髙尾のショッピング同行がどんなものかお知りになりたい方は全文を読んでみてくださいね。
- 【事前準備と作戦について】
① 1年目は初期投資と考えて、予算をケチるな。(※このページから順番に読み進められます)
② コラージュを作ろう!
③ 食わず嫌いはチャンスを失う? - 【意外と大事な当日のおメンタル】
④ ショッピング時のアンダーウェア♡
⑤ 今日、あなたは着せ替え人形になる! - 【いよいよ、ミッション完了!】
⑥ 買うものと買わないものの判断基準
⑦ カオリーヌ、最大の活用法。
■小島佳織様 BEFORE&AFTER かおりーたのスタイリングのご紹介です♪
第一回:
第二回:
この記事へのコメントはありません。