(2019年9月20日追記)
パーソナルスタイリストの髙尾香織です。
「こなれ感」が重視されて、ファッション誌でこの言葉がよく使われるようになって少なくとも5年以上でしょうか。
「今期マストのこなれ感アウターはこれ」
「大人こなれ感の秋コーデ」
「注目のこなれカラー!今欲しい◯◯色のアイテム」
これだけ当たり前のように使われているとおしゃれであることに関係が深いというのは察しがつくものの
- こなれ感って何?
- どういうコーディネートならこなれていると言えるの?
- 自分で作れるものなの?
と疑問が湧いたことがあるのは私だけではないはず。ただ言葉で説明できなくても、感覚として理解している方も多いのではと思います。この記事では、曖昧なままになっている「こなれ感」の概念をクリアにしておしゃれに活かすべくコーディネート例とともに説明したいと思います。
◼︎着こなしでこなれる・・?
おしゃれに見える着こなしのやり方として
- 三首見せ(首、手首、足首を出す着こなし)
- トップスの前だけイン
- ジャケットやカーディガンの袖を通さない肩掛け
などは知っている方も多いですよね。私もよく使いますし、実際にこなれ感にも繋がります。けれども、首さえ見せればこなれて見える訳ではないし、シャツの裾をパンツに入れたけれどおしゃれに見えなかったり、失敗すると前よりだらしなく見えるということもありますよね。それは、これらがどちらかというと表面的なテクニックだから。こなれ感を作るにはベース作りが大事です。
そのために「こなれ感」という言葉の意味に踏み込んでみましょう。
◼︎「こなれ感」の意味
ファッションで「こなれ感」という用語が出てくる時、頑張っている感じがなく、自然体だけどおしゃれな雰囲気が醸し出されている状態を指すように思います。
- 頑張っていない
- 自然体
- でもおしゃれ
これって、大人を素敵に見せるためにとっても重要なポイントじゃないですか?女性だけでなく男性にとっても。そんな大事なことを「こなれ感」が教えてくれているとは知りませんでした(笑)
「こなれる」は漢字にすると「熟れる」。辞書的な意味では、熟練する、無理がなく調和のとれた状態になることです。「こなれる=小慣れる」じゃないかと思いきや、違うんですね。
言われてみると、頑張っていないのに自然体でおしゃれな自分になるためには、自分に本当に似合う服をよく知っていたり、それが板についていることが前提かもしれません。それもインパクトのあるデザインの派手な服ではなく、シンプルな服でね。そういう意味では、もともとの語義の「熟練」が土台にあってこそ、こなれ感って出てくるものではないでしょうか。とすると
なーんだ、それならもともとおしゃれな人じゃないとダメじゃん!と思われた方のためにも、もう少し分かりやすくて使えるように、こなれ感について考えてみましょう。
どうすればコーディネートが素敵に見えるのか、こなれ感という視点で具体例を紹介します。
主役はこの水玉ブラウスです。ちなみにこれは、色柄、デザインともにパーフェクトと言っていいほど私には似合うので、アイテム的に不足はありません。
まずは、このブラウスを使った「こなれていない」コーディネートから。
白の膝下のスカートを合わせ、ベルトと靴は黒のベーシックなもの。基本を押さえた、私的には可もなく不可もない→すなわち面白みの足りないコーデです。面白くない理由は何点かありますが、こなれ感がないというのは大きい原因です。いつもより老けて見える気もしますし・・(悲)
では、どうすればこのコーデはこなれるでしょうか?
◼︎どこかに「緩さ」を:カジュアルダウン
「こなれ感」って、すべてがきちんとしたスタイルから、どこかに緩んだ部分があるのがポイントだと思います。
その分かりやすいやり方がカジュアルダウンです。カジュアルダウンって何のこと?という方は、ドレスアップの逆と考えてくださいね。
カジュアル・・で誰もが思いつくであろうアイテムはデニム。ということボトムをデニムに変えてみました。ジーンズの中でも綺麗めではなくて裾がカットオフされているラフな方です。
*AFTERこなれ 1*
どうでしょう。結構こなれて見えませんか? ブラウスが綺麗めな分、デニムのカジュアル感とコントラストが効いています。このコーディネートでは、ボトムだけでなく、バッグと靴もカジュアルなものにチェンジしています。
AFTERこなれ がこちら。
*AFTERこなれ 2*
カジュアルといえばデニムでなければならないわけではなく、スカートでもいいんです。こちらは綿のスカートで、ティアード(段)になっていたり前後の長さが違うデザインなので、BEFOREよりもカジュアル度が上がっています。
◼︎ヘアスタイルでも緩さを作れる
カジュアル感にはヘアスタイルも影響します。私のヘアセット能力が低いため、よく見ないと分からないのが申し訳ないですが(汗)整えた一つ結びのBEFOREに対し、AFTERでは髪に動きを出し、サイドの髪をぴったりさせずに緩めて耳にかけたり、不揃いに髪を引き出すなどラフな雰囲気を出しています。
シンプルに髪をまとめるよりラフにするために頑張らなければいけないのでは、頑張らない自然体をよしとする「こなれ」とは逆方向な気がします。が、こなれ感は、手がかかっていないという意味ではなくて、手をかけた結果見た目に表れる雰囲気が自然であること、が肝心だと分かりますね。ちょっと厳しいですけど、手抜きでは成り立たないのが「こなれ感」(笑)
◼︎トレンドを取り入れる
こなれるポイントの2番目はトレンド感。よく言われることですが、大人の女性は流行を追う必要はないけれど、どこかに上手に取り入れていると素敵にみえますよね。BEFOREで穿いているスカートは流行遅れなわけではないのですが「今」をあまり感じさせないアイテムであることは確か。
というわけで、トレンドを感じるボトムに変えてみましょう。
*AFTERこなれ 3* まだトレンドの続いているワイドパンツです。
コーデには関係ないですが、この写真は私の表情がこなれていません^^;
*AFTERこなれ 3* 同じく流行の続くサロペット(オールインワン)を合わせてもこなれます。
*AFTERこなれ 4*ロングスカートを合わせました。一見ベーシックで特徴がないスカートにも見えますが、スカート丈の流行はこの10年ほどはだんだんと長くなってきて、BEFOREのような膝下丈よりも、ミモレ丈、アンクル丈、マキシなど長い丈の方がアップデートされて見えます。
こんな風にボトムの丈感だけでも今っぽさは出すことができますヨ。
おしゃれ上級者なら「最もトレンドが反映されるのはシルエット」というのを意識している方も多いかと思います。丈はシルエットにも大きく影響するものなので、スカートやパンツ、トップス類の丈で今どきな感じがするのってどういうのか?に注目して組み合わせると良いですね。
さて今日は最後に、練習問題を用意しました。
問題:下のコーディネートがこなれていないポイントはどこですか?
簡単でしょうか?^m^ 解答はこの記事の最後に書きました。見る前に「まとめ」を読みつつご自分でも考えてみてくださいネ。
◼︎まとめ
今日のポイントまとめです。
- こなれ感 =「頑張っていない、自然体のおしゃれ感」(※注意:手抜きをしてもこなれない)
- こなれる基盤:似合う服をよく知って、着る
- こなれる方法1:カジュアルな服や小物をコーディネートに入れる
- こなれる方法2:ヘアスタイルで緩さを出す
- こなれる方法3:トレンドを取り入れる。流行の形、特に丈とシルエットで取り入れるのがオススメ
今回はブラウスを軸にしてコーディネート展開を考えてきましたが、ボトムスからコーディネートする場合も同じ考え方でやってみてくださいね。
こなれ感って何なのか少し理解を深めていただけたでしょうか。大人のファッションには大事なこと。コーディネートをバージョンアップするきっかけにしていただけたら幸いです♪
■練習問題の解答&解説
上のコーディネートがこなれていないポイントは主に2点です。
- スカートの丈感が短い。→ 膝丈のスカートが今の流行ではないため、トレンド感がない。ビジネススーツなどでは膝丈タイトスカートは流行関係なく使われるきちんと感のある丈ですが、私のようにカジュアルなスタイルに入れてしまうと、きちんと、というより「ちょっと古い人」「バーションアップしていない人」に見えます。
- スカートのデザインが私に似合わない。 → 体型的に(骨格診断ウェーブタイプ)タイトスカートをシンプルに着こなすことが難しいです。特に、全体のシルエットが上下ともに膨らみの少ないIラインになっているため、胴体が間延びしてみます。この写真を見た友人から「もちゃりしている」とのコメントをもらいました(^m^) 。全体にスッキリしたシルエットなのにもっさり見えるのは不思議ですが・・。
スカートの丈をもっと長いものに。→1をクリア
スカートのデザインをハイウエストにして重心を上げ、脚長に。→2をクリア
さらにデニムなのでBEFOREよりもカジュアル感があります。
もちろん、これが唯一の正解というわけではないのですが、こなれさせるポイントである「トレンドに合わせた丈感」と「似合うものを着る」を実行した形となりました。
いかがだったでしょうか?(^_^)大人女子の皆さんは「こなれ感」の実践ぜひしてみてくださいね。
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