つい最近、初の一般向け書籍が刊行された「顔タイプ診断」が新たなファッション診断法として話題になりそうです。
骨格診断をひとつのツールとしてファッションとコーディネートについて、教えたり書いたりしてきた私も、もちろん興味を惹かれずにはいられません。スタイリングとも関連性の高い分野ですので業界内でも早く話題になり診断を受けるチャンスにも恵まれました。出版された顔タイプ診断本のレビューを兼ねて、一般のお客様が顔タイプ診断をどう考えればいいか、パーソナルスタイリストの観点からまとめました。
顔タイプ診断とは?
この記事で参考に引用させていただいた本はこちらです♪
『顔タイプ診断で見つかる本当に似合う服』岡田実子著 かんき出版
顔タイプ診断をメインテーマとしつつ、骨格診断とパーソナルカラーについてもバランスよくまとめられています。私を診断してくれた方から聞いたお話なのですが、著者の岡田さんが、クライアントに似合う服を探す際、ショップのマネキンの顔とお客様の顔を想像の中で置き換えてみると、似合うと似合わないが瞬時に判別できた経験に基づいて作られた理論なんだそうです。
これが「フェイスマッチ」という独特の判断方法につながっています。自分の写真をプリントアウトし、顔部分だけを切り抜いて、雑誌などで気になるコーディネートを着てるモデルさんの顔の上にそれを置いてみる、という斬新なもの。私も、岡田先生の元で学んだ顔タイプ診断士の方から講習を受けた際に、実践させてもらいました。
そんな顔タイプ診断は
- 子供顔ー大人顔
- 直線ー曲線
この二つの基準を縦軸と横軸としたマトリックス上で8つのタイプに分類されています。そしてタイプごとに
似合うファッションのテイスト、似合う柄、似合う素材、似合うアクセサリー、似合うヘアスタイル
が判定できるというもの。
私の診断結果は
大人×直線と曲線のミックス=ソフトエレガント
同じタイプの有名人:綾瀬はるかさん、吉田羊さん、松嶋菜々子さん、吉永小百合さん、仲里依紗さん
確かに、これまで何度か吉永小百合さんに似ていると言われたことがあるんです(昔の話ですが・・)
似合うテイスト:上品できれいめなスタイル。あまりカジュアルなスタイルは違和感が出る。
ということで、似合うファッション例のイラストには、レースのタイトスカートに白のふわっとしたブラウス。花柄のふんわりスカートに華奢なパンプスなどが描かれています。
骨格診断の洋服の分類でいうと、ウェーブタイプに似合うお洋服のうち、あまり装飾性の強くないシンプルなお洋服類に相当すると思われます。
私のようなスタイリングを職業とするものならば、顔立ちを勘案して服を選ぶのは、誰もが自然に、当然のこととしてやっています。骨格診断は首から下、体の特徴のみから似合う服を選び出す手法ですが、似合う服は実際には顔を抜きにしては決められないんですね。同じ体型、同じサイズの方が仮にいるとしても、そのお身体の上に、キリッとした男顔があるのか、柔和な女顔が乗っているかで、提案するお洋服は全然違ってきます。プロが無意識に使っているそんなスキルを、一般人の方にとても分かりやすい形で楽しく解説してくれているこの本は素晴らしいと思います。
現に、Amazonのレビューを読むと、今までパーソナルカラー診断と骨格診断だけではしっくりこなかったり、イマイチ垢抜けなかった理由が分かりました!という感想がたくさんあり、おしゃれの迷子の方の力になってくれるのは間違いないですね。
パーソナルカラー診断、骨格診断との関係は?
著者の岡田さんは(1)パーソナルカラー(2)骨格診断に加えて3つ目の診断方法である(3)顔タイプ診断を提唱し、その3つの診断の意味・目的を書かれています。
- パーソナルカラー診断・・・肌や目、髪に合う色がわかる
- 骨格診断・・・・身体がスタイルよく見える、服の形とバランスがわかる
- 顔タイプ診断・・・似合う服の決め手であり、顔の雰囲気に合うテイスト、ディテール、柄、素材がわかる
どの診断方法が正しくて、どの診断方法が間違っているというのではなくて、それぞれに違う役割を担っているというわけですね。これってとても大事な考え方だと思います。
スタイリングを専門にしている私はここで疑問が出てきます。
顔タイプ診断と骨格診断で、似合うものが食い違ったらどうするの?
私自身の診断結果では、骨格診断はフェミニンで装飾性のある服が似合う「ウェーブタイプ」です。そして、顔タイプ診断では「ソフトエレガント」。上に書いたように、ソフトエレガントに似合うと書かれているお洋服類はウェーブタイプに似合うものと一致する部分が多いようです。でもこれはたまたまの話。骨格と顔のタイプの診断結果から導き出される似合う服が一致しなくなってしまう方も大勢いらっしゃいます。
分かりやすく芸能人の方で考えてみましょう。
深田恭子さんは顔タイプ診断ではフェミニンタイプ。女性らしく華やかさのあるテイストが似合う。
一方、骨格診断ではストレートタイプ。装飾性のないシンプルでベーシックな服が似合う。(※診断は髙尾の判断です)
これって食い違っている気がしませんか? 具体的な似合う服の選び方についてそれぞれに書かれている頁を読んでみると
顔がフェミニンタイプならば・・・
襟元や袖のどこかに曲線のあるデザインが似合う。VネックよりはUネックや丸首。ギャザーのあるデザインやボウタイブラウスなど、女性らしいものをセレクトしましょう。(p.68 顔タイプ別「私の魅力を引き出す服)
骨格診断でストレートタイプならば・・・
似合うトップスはVネック、Uネック、シャツカラーなど縦に深く開いたネックラインが上半身に詰まりやすいバランスを整えてくれます。(p.130 骨格診断でもっと輝く自分スタイルを見つける)
困りました。深キョンは、骨格診断に従ってVネックを着た方がいいのか?顔タイプ診断を重視してVは着ない方がいいのか?
私も考えこんでしまいますので、一般読者の皆様はもっと分からないのではないでしょうか。
芸能人の方で顔タイプと骨格診断タイプが推測できる方を表にしてみました。
顔タイプ診断 | 骨格診断 | |
深田恭子さん | フェミニン(大人×曲線) | ストレート |
剛力彩芽さん | クールカジュアル(子供×直線) | ウェーブ |
橋本環奈さん | キュート(子供×曲線) | ストレート |
小泉今日子さん | アクティブキュート(子供×曲線) | ストレート |
榮倉奈々さん | フレッシュ(子供×直線・曲線) | ナチュラル |
北川景子さん | エレガント(大人×直線・曲線) | ウェーブ |
綾瀬はるかさん | ソフトエレガント(大人×曲線・直線) | ナチュラル |
(※顔タイプは上記参考文献による診断、骨格診断は私髙尾の判断です。各タイプの詳細は本を参照してくださいね。)
上の表に列挙したのは、顔タイプからの似合う服と骨格診断からの似合う服が、ちょっとずれるかなと私から見て思う方々です。
岡田先生の本では、骨格診断の各タイプのページに、顔タイプマトリックスと対応するコーディネートのイラストが付け加えられているのですが、こういった不一致の解消法については示されていません。もっと詳しい情報を出して下さるのを待つしかなさそうですが、顔タイプは「似合う服の決め手」であり「服選びの基準」だと冒頭にも書かれていますので、骨格よりも顔タイプの方の診断結果を優先するというお考えなのかもしれません。あくまで推測ですが。
似合う服の決め手は、あなたが何を優先したいかで考える
ここからは私個人の意見になりますが「似合う服の決め手」は、お一人お一人違っていいと思います。岡田先生は顔タイプ診断が基準であるとおっしゃっています。つまり顔タイプが最優先。この診断法の考案者でいらっしゃるので当然のことだと思います。
パーソナルカラーにも、骨格にも、顔タイプにもバッチリ合うパーフェクトなお洋服が存在するなら、それに越したことはありません。けれども現実には、前項に書きましたように、骨格と顔タイプの方向性が違っていて、難しく感じるケースも出てきます。
そんな時どの診断を決め手とするかは、私たちそれぞれの価値観で選択すればいいということなんですね。3つの診断手法はどれも「似合う」の一側面を捉えていて、お互いに補い合う関係ですから、こんな風に考えてはどうでしょうか。
スタイルを良く見せたいなら、骨格診断を優先する
ファッションのイメージやテイストを大切にしたいなら、顔タイプ診断を優先する
お肌や目をきれいに見せたいなら、パーソナルカラーを優先する
あなた自身もどれか一つに決めてしまう必要はなく、例えば
デートや婚活ではパーソナルカラーを重視した装いをしたり
キマった自分でいたい日は骨格診断に従った格好にしたり
顔タイプ診断結果が好みと一致していた人は、自分の「好き」を大事にして顔タイプに合ったコーディネートをしてみる
というようにすればファッションの幅をぐっと広げられるのではないでしょうか。着られるお洋服の選択肢が広がると楽しいものですからネ。
パーソナルスタイリストとして、私が考える「決め手」については下の記事に書きました。
新しいファッションのメソッドである顔タイプ診断。服装に迷う多くの方にとって大きなヒントを与えてくれます。骨格診断のように認知度が上がり、発展して、皆様がより素敵により自由に自己表現をするきっかけとなるよう願っています。
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