パーソナルスタイリストから骨格診断を受ける意味とは?

世の中には資格を持つ骨格診断ファッションアナリスト、骨格スタイルアドバイザー(以下、まとめて骨格診断士とします)がいらっしゃり、パーソナルカラー診断と一緒に骨格診断をしてくれるサロンも日本全国にあるようですね。また、この2年ほどの間にタイトルに「骨格」を取り入れたファッション関係の書籍は10冊以上出版されています。著者は協会に所属する専門の診断士やスタイリスト、コーディネーターなど立場もいろいろですが、それぞれの本が読者の助けとなるように様々な工夫がされていて読んでも楽しいものが多いです。骨格診断が世に出てから数年を経て、理論が全体として洗練されてきているのが分かります。

そんな充実したラインナップが揃っている中、わざわざパーソナルスタイリストから骨格診断を受ける意味って何でしょうか?本を読むだけでは分からないものかな?どうせやるなら専門の診断士の方にサロンで診てもらう方がよいのでは?と思われる方もいらっしゃるかと思います。

骨格診断に興味がある方は一度はプロからの診断を受けるのが早道です。(理由は次の項目で詳しく書きますね)その際しっかりとした診断ができるプロフェッショナルであれば、資格を持つ骨格の診断士でも、パーソナルスタイリストやコーディネーターでも良いと思います。どちらから受けるのが正しい・間違っている、どちらがお得、ということではなく、両者の役割と得意分野が違いますので、お客様の課題・目的によって使い分けていただければいいんですね。

どの立場の専門家も、お受けくださった方に似合うものを着ていただくのを目的として、ファッションに関するアドバイスを仕事としている点は共通ですが、手段とゴールが違います。私のとらえ方ですが

骨格診断士ー「診断」の専門家。お客様の外見から、理論に従って正しい診断結果を出すことを主眼とする

ですから、骨格診断士の方にお願いすると、診断をしてくれた上で、似合うお洋服や髪型などについて詳細な資料を一緒に下さることが多いですね。

パーソナルスタイリストー「スタイリング」の専門家。お客様のご希望に沿って似合う服を具体的におすすめする買い物同行がメイン

パーソナルスタイリストの中には骨格診断やカラー診断はしません、と最初から断っている方もいらっしゃいます。そういった方々は持ち前のセンスでお洋服選びやコーディネートをしていらっしゃり、そのセンスや経験値に信頼をおいて依頼される方も多いと思います。

では、私のようにパーソナルスタイリストでありながら骨格診断をとりいれている者から診断を受けることに意味があるとしたら・・・ということで、下にまとめてみました。

骨格診断は自己診断が難しい

第一は、骨格診断をはじめとして各種のファッション系の診断は、基本的に自己診断が難しいということがあります。私のパーソナルスタイリングのお客様やセミナーの受講者さんには、最初に「骨格診断とは何か?」というところからお話して、3つのタイプ(ストレート、ウェーブ、ナチュラル)について解説するのですが、説明を聞いた時点で、ご自分のタイプが「これ」と判断できる方は少数派です。大抵の方は「全然わからない」とおっしゃるか、自分で予測したタイプが実際のタイプとは違っているか、どちらかです。

なぜ違ったタイプを自分だと思ってしまうのでしょうか。よくある原因は下記のようなことです。

◆普段よく着ている服に該当するタイプが自分の骨格診断タイプだと思う傾向

例えば、普段シンプルできちんとした服装をしている方が、ご自分はストレートタイプだと思う、フェミニンで可愛いらしい服が好きな方がウェーブタイプではないと知って驚かれる、などの場合です。

◆顔立ちの雰囲気で判断している

非常にあるあるなのが、可愛いお顔立ちをしている方がウェーブタイプだと思っているケースです。こういう方は、お友達や周囲の方からもそう言われて自他共に認める「可愛いものが似合うタイプ」であることも多いので、骨格診断で違う結果が出ると驚かれることがしばしばです。

顔というのは見た目の印象に与える影響があまりに大きい部分ですので、その人の全体イメージに直結して感じられるのも無理はありませんね。

診断のプロの方なら承知していることなのですが、骨格診断は首から下の体の部分に合う服を導くセオリーです。ですから、厳密に言うと正しい骨格診断をするには、お顔立ちの影響を排して判断できないといけないことになります。けれども「似合う服」の総合的な判断では顔立ちを無視することはできません。前回のコラムに書きました「顔タイプ診断」という新しい手法はそういった背景から出てきたものではないかと思います。

参考記事

◆どうしても出てくる「好み」の影響

雑誌『リンネル』のような世界観が大好きな方は、骨格がナチュラルタイプだと幸せでしょう。女子アナの服装ような可愛くてきちんと感のあるいわゆる「コンサバ」が好きな方は、骨格診断でウェーブタイプと言われれば好きなお洋服を着られますね。そういったご自分の「好き」が似合う服であってほしい願望もどこかではたらいているところがあると思います。これも、一般の方にとって骨格の自己診断が難しくなってしまう理由です。

 

ですが、一番大きいのは次の要素かもしれません。

◆自分の個性が最も見えにくい

骨格診断は自分の体型の特徴をタイプに当てはめることで理解するツールです。言い換えると、自分の体の個性を知るツールなのですが、自分の個性って自分が一番見えないものです。骨格診断の本を読むとセルフ診断のチェック項目が必ず書かれています。例えば

手首が円形 OR 平たい 

体に厚みがある OR ない 

などが代表的です。そのチェックポイントをご自分で判断しようとすると

手首?丸っこい気もするけど楕円は楕円だし・・

厚みがあるとは思うけど、これって普通じゃない?

他の人と比べてみれば分かることもあるのですが、それもその人と比べればということで、確信を持って○○タイプと見分けられる方は少ないのでは、と思います。

骨格診断士や、パーソナルスタイリストでも骨格診断を取り入れている人ならば、診断経験は一般の方の比ではなく確実な判断をしてもらえます。直接の診断を受ける意味がここにあります。私の場合ですが、ミックスタイプでない典型的な○○タイプならば、お体に触れなくてもパッと見て分かることが大半です。

骨格診断のミックスタイプをどう考えるか?

一部では「骨格にミックスタイプなどない」という意見や「ミックスタイプを認める診断士は信頼できない」とまで言う人もいてちょっとびっくりするのですが・・おそらくそう主張する方は、プロであるかどうかにかかわらず、自分以外の服選びの経験がない方ではないでしょうか。

スタイリングをしたことがある方なら「ミックスタイプがない」とは簡単には言い切れないはずです。世の中には本当に様々な体型の方がいらっしゃり、それぞれの方にベストな服装を選ぶためには、一つのタイプに当てはめて完了、というわけにはいかないのが現実なんですね。各種診断で同じタイプと診断されても、一卵性双生児でもない限り、似合う服に共通点はあれども、隅から隅までぴったりと一致しているという方はいないでしょう。

骨格体型は血液型のように機械的に計測できるものではありません。人間の体のバランスを表すものである以上「ストレート」「ウェーブ」「ナチュラル」に絶対に分けられ、そこに曖昧さは存在しないというほうが不自然だと私は思います。それでもなお便宜上いくつかのタイプを設定するのは、体型や体のラインの特徴を把握しやすくなり、似合うファッションを決める上で非常に役立つからです。

こちらの記事のお客様のように、体の厚みはある(ストレート的)けれど、腰の位置は低め(ウェーブ的)なので、シャツ+広がるスカートでスタイルアップして見える方。こういった方は何百人に一人のレアケースではなく大勢いらっしゃいます。

このお客様は、自分がストレートなのか?ウェーブなのか?と悩んで相談に来られたわけですが、この方をウェーブと断定しても、ストレートと断定しても「これぞ」というコーディネートには出会えないまま違和感を持ち続けることになってしまうでしょう。こうなると指針を与えてくれるはずの診断なのに服選びの障害になるという皮肉な事態に陥ってしまいますね。

私が残念に思うのは、そうした曖昧なケースですらも強制的に一つのタイプに入れてしまうことで、その方の体型の個性が無視されること。パーソナルスタイリストなら、骨格診断なしでも服選びができる能力を備えているはずですので、診断を通してしかお客様や服が見られなくなるという事態は起こりません。

お客様側の皆さまは、診断の際、ご自分の体は一つのタイプにはまらない可能性もあることと、もしミックスタイプと診断されたり、判断を迷われたら、どういう点が○○タイプでどういう点が△△タイプなのか、診断する方に詳しく聞いてみてくださいね。診断経験が豊富なプロフェッショナルならば、詳しく説明してくれます。それに対応した、お洋服の選び方のポイントも合わせて教えてもらえるとベストです。

骨格診断は実際の買い物に落とし込めて初めて「使える」

骨格診断やパーソナルカラー診断を受けて目からウロコが落ち「服を見る目が変わった」と言ってくださる方は多くいらっしゃいます。

骨格診断を受けた。どんなデザインと素材の服が似合うか教えてもらったし、本も買って勉強した。さて、その服はどこに行って買えばいいんでしょうか?「このブランドが○○タイプに合いますよ」とアドバイスしてもらえることもあります。が、実際に売り場に行ってみると、何をどうしたらいいのか?

とりあえずストレートタイプだからVネックのセーターは似合うはず。素材はこれでいいのかな?ハイゲージが似合うと教わったけどこれって何ゲージ・・・?シャツは似合うらしいけれど、流行のビッグシャツはストレートタイプにはOKなのかしら?

骨格診断で学んだ知識は頭に入っているのに、いざ売り場でお洋服に対面してみると確信を持って選べない。お店に並んでいる服を片端から一つ一つ試していくわけにはいきませんよね。真面目に考える方であればあるほど、服選びって大変!と思えてしまうかもしれません。そう、骨格診断は実際の買い物に落とし込めなければ生かすことができないからです。

それに加えて、予算の制限(セレブでない限りありますよね)、TPO(どこに行って誰に会う時に着るのか?)なども同時に考えなきゃとなるともっと難度が上がるかも・・書いている私も大変そうに思えてきました(笑)

その点、似合う服の探し方・選び方に関しては、パーソナルスタイリストほど豊富な知識と経験を持っている専門家はいないと思います。いつもお客様のお買い物に同行し、各ブランドのテイストやサイズ感などの大事な特徴をよく知っていて、お買い物の現場での実践経験が他のどの専門家よりも多く蓄積があるのです。それがメインのお仕事なので当たり前なのですけどね (*・∀-)☆

また理論的には大丈夫なはずなのに、着てもらったらなんだかダメだった、逆に、セオリーではNGになっているけれど実際に試着してみたら似合っていた、という経験もスタイリストなら必ずしています。お買い物同行の現場ではこういったことが日常茶飯事。パーソナルスタイリストなら、定説やセオリーは有用だけれど万能ではなく、一つの目安にすぎないということも身にしみています。そこで思考停止せず、日々自分なりにブラッシュアップしているのがパーソナルスタイリストなんです。

「似合う」と「好き」の葛藤をよく理解している

上のコラムで書いたことですが、骨格診断の結果が好みと違ってしまったという方は圧倒的に多いです。考えてみると自然なことなのですけど、骨格診断に興味を持つ方の多くは、なんとなく好みで買ってきた服に違和感を持っていたり、満足できていない現状があるからこそ。好きで着ている服が似合っていればそもそも問題が起きない訳ですから。

という事は「似合う服」と「好きな服」にギャップが生じている状態が普通。でもそれって、骨格診断をするしないに関わらず、パーソナルスタイリストがお客様のスタイリングをする中で日々直面している課題なんです。お客様にお似合いになるものや、着れば好感度の高い服装と、お客様の好きなものが一致しない状況。

きちんと感のあるコンサバスタイルが必要だしウケもいいんだけれど、ご本人の好みはカジュアル一辺倒だったり

「大人可愛い」が大好きなお客様なのにマニッシュでシャープなスタイルが洗練されて見えたり

華やかな服装がお似合いになるのに、ご本人は素朴で飾らない服装が好みだったり

こういった葛藤を解消しつつ具体的な答えを出すのがパーソナルスタイリストの手腕であり役割であると言えます。

好みはすぐには変えられないことは私も身をもって実感しています。また、今まで着たことのないお洋服を受け入れるにはお金だけじゃなく勇気が必要なことが、お客様を見てきた経験からわかるんですね。もちろん診断の専門家の方もこの点に関しては豊富な経験をお持ちだと思います。

これは私のスタンスですが、単純に、体型に合うから、似合うから、とお勧めするのではなくて、要望を踏まえた上でなるべくお客様の受け入れやすい形で新しいスタイルを提案する。優秀なスタイリストならば、診断とは関係のないお客様の好きなものライフスタイル(どんな生活を送りたいか)、ライフステージ予算、その時のトレンド(何が流行っていて今っぽいのか?)から、何を優先して何を切り捨てるのかを総合的に判断し、具体的に何をどこで買うのかまでを考えて提案します。

そしてできることなら、その新しいスタイルも楽しみながらお客様の生活が豊かに変化してほしいと心から願っています。パーソナルスタイリストに骨格診断を依頼する価値はそんなところにあるのではないでしょうか。

パーソナルスタイリストから骨格診断をうけられるメニューはこちらです
ファッション&コーチング【ベーシック講座】
パーソナル骨格診断&コーディネートレッスン

 

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著者紹介

髙尾香織ポートレート

パーソナルスタイリスト 髙尾香織



東京都内で買い物同行、骨格診断やパーソナルカラー診断を取り入れたコーディネートの個人レッスン、ビジネスパーソンのためのイメージコンサルティングなどのサービスをしています。

「自分で自分を素敵にできる人」を増やすため、おしゃれのベースにあるロジックを分かりやすく実戦的にお伝えしていきます。


プロフィール詳細は【こちら】からどうぞ

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