今日は皆様が一度は感じるであろう、パーソナルスタイリストサービスにまつわるお金の疑問を取り上げます。
◼︎スタイリング料金の考え方
ぶっちゃけ、パーソナルスタイリストに払うお金ってなかなかの値段ですよね? 面と向かって言われることは少ないものの、私自身も否定できません。今はインスタグラムなどのSNSやファッション系アプリの発達で、流行のアイテムを使った素敵なコーディネート情報は溢れており、情報収集に事欠くことがない時代です。それらは無料で使えるもの。
一方でパーソナルスタイリストに依頼すれば、服を買うのにお金がかかる上、同行するスタイリストにさらに何万円も払うなんて「お金持ちでもないのにちょっとできない。私には贅沢」と思われる方がいるのも無理もない話だと思っています。それだけのお金があれば余分に何枚ものお洋服が買えますからね。ファストファッションのブランドなら10枚以上買えるかもしれません。だからスタイリストには頼らず、流行りのコーディネートやプチプラ情報はネットで自分で調べる。
それが間違っているとは思いません。けれども考えてみて欲しいのです。
これまでその考え方であなたは変われたでしょうか?素敵になれて、毎日の自分自身に満足できる、納得感のある装いができているでしょうか?
きっと100パーセントYES!と言い切れないからこそ、貴方はこのページを読んでいらっしゃるのではないでしょうか。
さらにひとつ質問を。
スタイリング料金の分、数枚多くの服を買ったとして、あなた自身は満足できるでしょうか?
追い詰めるような書き方になってしまってゴメンなさい。この問いかけへの答えがYESの方にはパーソナルスタイリストが出る幕はありませんが、多くの方にとってきっと答えはNOではないかと思うんです。
2010年代にファストファッションが世を席巻し、プチプラブランドを取り入れたおしゃれを誰もがするようになった今、お洋服の悩みが数(少ない。もっと欲しい)という方はどれくらいいるでしょう? むしろ選択肢が過多になったおかげで、買おうと思えばいくらでも安く服が手に入る時代です。多すぎるものから何をどう選べば満足できるのかが分からず「何を着たらいいか分からない」というのが、ファッション迷子さんの大半が持っている根本的な悩みではないでしょうか。ミニマリストでなくても、大切なのは数ではないことをどこかで感じて立ち止まっていらっしゃる方が多くなっているように私は感じています。
これまでご自分で「なんとなく好き」「無難」「こんな服を着てみたいな」といった理由や動機で選んできたお洋服は
変なわけではない。でも最高の満足度を与えてくれる服でもない。
そんな風に買って活用できなかった服や着ていない服、納得できないままクローゼットにある服の合計って、どれくらいの金額になっているでしょう?
考えてみてゾッとした方もいるかもしれませんね。
私も、プロになった今でもこれは他人事ではありません。服選びの知識とたくさんの方のお買い物にアテンドしてきた経験から、ロスを抑える方法を多く知っているというだけで、失敗がゼロになったわけではないんですね。
「ちょこちょこ」と「そこそこ」の服を買い続けていると、中途半端な服の山は今後もクローゼットからなくなることはありません。あなたの選び方、買い方が変化しない限り、断捨離をして空いたスペースにまた同じような微妙な服が入りこんでくることになってしまうんです。
そこで考えていただきたいのは、もしパーソナルスタイリングを依頼するとしたら、延々と続いてきたそのサイクルを打破することができる可能性がとても高いということです。
「40代になるまで、ああでもない、こうでもない、と時間とお金をかけて自分なりに試行錯誤してきたけれど、プロに頼めば一瞬で片がつきました。早く頼めば回り道をしなくて済んだのに」
初めてのパーソナルスタイリング後にこういう主旨のご感想をくださるお客様は少なくありません。
パーソナルスタイリングは安価なサービスではないことは確かです。一度のお買い物でスタイリング料金とお洋服代合わせれば10万円以上かかることが多いです。その金額だけを見ると「高い」と感じられるかもしれません。それでもなお、パーソナルスタイリングは「高くつく」サービスではないと私は思っています。
今ここで出て行くお金を「点」でとらえず「線」のタイムラインで見ていただけるとしたら、パーソナルスタリイングってとても意味がある、効能が高いサービスなんです。その大きな理由をお伝えしますね。
◼︎「お願いしてよかったこと」ベスト3
スタイリストとのお買い物にはいくつものメリットがありますが、一番わかりやすいのが次の費用対効果です。
時間と労力の節約効果
キャリアを持っていらっしゃる方や、忙しくてお洋服をゆっくり選びに行く時間のない方にとってはもちろん、そうでない方にとってもこの節約効果は大きいものです。
弊社のサービスでは、お買い物同行の前に、スタイリストだけで事前にショップに出向きリサーチする時間をいただいています。例えば、お客様のご依頼内容に「トレンチコート」というアイテム指定がある場合は、トレンチコートだけで少なくて5店舗ほど、場合によって10店舗以上チェックをしに行きます。身長・体型・似合う色に合わせて、そしてもちろんご予算内で、これと思うものが見つかるまで探します。
指定が「Gジャン」だった場合も同じです。ご希望に「Gジャン」が入っていたなら(私の場合ですが)デパートのジーンズの売り場、Levi’s などのデニムブランドに加えて、GAP、ZARA、H&M、ユニクロ、GUなどのプチプラのカジュアルブランドはすべて、それで足りなければ他のショップもチェックしに行きます。そしてショッピング同行当日は、その中からベストな2〜3点をご紹介します。
さらに、お買い物同行は1アイテムではなく、それを含めたコーディネートをトータルで求められることがほとんどですので、組み合わせられる他のアイテムも同時に探します。弊社のお買い物同行は3時間が一つの基準ですが、仮にスタイリストの事前の下準備がなく「ぶっつけ本番」のお買い物だとしたら到底3時間では完了できないアイテム提案数・コーディネートのクオリティになっています。
下調べに何時間かかっている、というのは一概には言えませんし強調することでもないと個人的に思っておりますが、実際のお買い物時間の倍くらい(3時間のショッピングに対して6時間の下見)かけていることも珍しくありません。
次に、これまでのお客様から頂いたご感想から「お願いして本当に良かった理由」ベスト3をご紹介します。
- 毎日のコーディネートに悩まなくなる。
服の上下・靴・バッグ・アクセサリーなどトータルで考えて提案しますので、毎日のコーディネートが格段に楽になり、時短ができます。ご自分で「なんとなく好き」「使えそう」という感情や感覚頼りで買い集めた服たちとはちがって、相互の組み合わせが最大限出来るように考えておすすめしますので「あまり考えずにパッと手に取った服を着て通勤しても、おしゃれがちゃんとできている」というご感想をくださるお客様が多いです。また、お手持ち品との組み合わせがピッタリくるというお声も多いです。 - 「似合う」が感覚で理解できる。似合う服をどこで買えばいいのか「自分にとってベストの情報」が得られる。
私のやり方ですが、どうしてその服を選ぶのか、お買い物をしながらお教えします。また、必ず試着をしながらサイズ、デザインなどを細かくチェックしますので「似合う服ってどういうものか」「どのショップに行って、どう選べばいいのか」がだんだんと身についてきます。とはいえ「一度お願いしても季節が変われば買い足しが必要。その都度スタイリストに頼まなければならないの?」と心配される方もいらっしゃるかと思います。私の経験上、一回で完璧にできるようになる方は稀ですが、進歩しない方というのはいらっしゃいません。 - シンデレラ体験。だけど魔法は解けない。
あるお客様が言われたことですが「クセになったらどーしよーぐらい楽しかったです!これは間違いなくエンターテイメントです!コンサルやショッピング同行の費用も、エステに行くより確実に女っぷりが上がるので、投資対効果は高いです」。また別のお客様は「半期に一度のお楽しみ」としてリピートし続けてくれています。(本当にありがたいことです!)旅行やエステに行くような、自分へのご褒美。旅行やエステと違うところは、楽しい思い出だけではなく、日常生活に戻った時に「素敵な私」という形の残るご褒美であることです。
以上のように、パーソナルスタイリングのメリットはその場その時だけではないので、スタイリング料金は「コスト」というよりも「投資」と考えていただく方が妥当じゃないかな、とスタイリスト的には思っております。
また逆に、パーソナルスタイリストを使うことに向かない方もいると思います。例えば
- お買い物をすること自体が楽しくてリフレッシュになる方。ウィンドウショッピングが趣味の方
- ファッションの情報収集が好きで、自分でいろいろ試すことが楽しい方
- 似合う服より好きな服が着られることが大事な人
こういう方は、あれこれと買って試してというプロセス自体が楽しめる性質ですから、お買い物同行は必須ではないと思います。こういった方にショッピング同行よりもおすすめなのは、ご自分の服選びを的を射たものにするため、骨格診断やパーソナルカラー診断を受けたり、コーディネートのテクニックを勉強されること。そうすれば、もっともっとファッションが楽しめるようになること請け合いです^_^
◼︎ なぜパーソナルスタイリストでなければできないのか?
パーソナルスタイリストに関してよくある疑問、「おしゃれの得意な友人や家族に選んでもらえばいいのでは?」についてお答えします。同じ結果が得られるのならば、お金のかからない身内やお友達の方がリスクも少ないと思う方もいらっしゃいますが・・・どうでしょう?
◆おしゃれな友達に選んでもらうのとプロの買い物同行、どう違うの?
パーソナルスタイリングで提案されるのは、それまでご自分が着てこなかったお洋服や、思いもしなかったコーディネートです。「自分では決して選ばない服をすすめてもらえる」ということにフォーカスするなら、プロでなくてもおしゃれな友達や知り合いに頼んでも同じことでは?と思われるかもしれませんね。確かに、お友達でも、プロのスタイリストでも目新しさ・楽しさを提供するという意味では同じかもしれませんね。
けれども「決して選ばない服」にも理由と根拠があるんです。ご自分で選ばない服というのは
- 本当に似合わない服
- 似合っているけど好みじゃない服
- おしゃれすぎだったり派手だったりで手を出さない服
の可能性があるんですね。私の経験上、お客様に「自分では探せなかった!」と喜んでもらえたのは、上のどれでもなく
- 本当は似合っているけれど、自分を客観視できていないため、食わず嫌いしていたシンプルな服
圧倒的にこれなのです。実は、ご自分では手に取らない服を選んでもらったことよりも大事なのは、あなたを本当に素敵に見せている服であること、それがその後のあなたのライフスタイルや価値観に溶け込んでいけることなのです。
友達に選んでもらった時にありがちなのが、その服を着て別の人に会った時「○○ちゃん(選んだお友達)のようだね」という反応です。それはそのご友人らしいスタイルであって、あなたのスタイルではないことを表しているのがこのセリフではないでしょうか。同じものを着てもそれがあなたにすごく似合っているなら「素敵だね」「すごくいいね」という、あなたへの褒め言葉を言ってもらえます。
また、友達だから遠慮のないコメントを言ってくれるのでは?という考えも一理あります。お客様とスタイリストという関係性にはない親密さがあるからこそ、良いものは良い、似合わないものは似合わない、と言えるということもあるでしょう。けれども、親しい間柄だからこその盲点もあるかもしれません。
これまでセミナーやスタイリングサービスを通してお聞きした経験から、近しい人であればあるほど、外見そのものよりも内面性を見ている傾向があります。そういう意味では、お友達よりもお身内・ご家族の方がこの傾向は大きいかもしれません。お母さんやお姉さんから見たあなたは、明るくて無邪気でちょっとワガママな可愛い娘・妹だったり、そんなあなたの外見にクールでかっこいい要素があったとしても、それは目に映っていないこともあるんです。だからこそ「赤の他人」であるプロに任せる意味があります。
それから、おしゃれ好きな、センスのいい友達がオススメしてくれる服は「その友達が好きな系統の服」「その友達がよく着ている服」の域を出ていないことが多いです。あなたがおしゃれで素敵だなと感じているからには、服の組み合わせ方(コーディネート)のセンスが良い方のはず。そして、その人には似合ってるははずです。けれども、それがあなたに似合うか、あなたがそれを着て素敵になれるかは別問題。自分と違う体型、違う雰囲気や魅力を、ひとりひとりに応じて、自由自在にコーディネートできるのがプロのパーソナルスタイリストです。
◆ショップの販売員さんに選んでもらうのと、どう違うの?
ショップで接客をしてくれるおしゃれな販売員さんに頼んでコーディネートしてもらえば、スタイリング代がかからなくていいじゃない?という意見も目にすることがありますが、これはどうでしょうか?
お客様から一番よくお聞きするのは「店員さんは本当のことを言ってくれない」というお悩みです。確かに、自社の製品をフィッティング中のお客様に「似合いません」とはちょっと言いにくいという販売側の事情もあると思いますので苦慮されているところじゃないかと思います。
それから、店員さんはひとつのショップ、ブランドの方ですから、色んなショップから選りすぐったお洋服を組み合わせて提案するパーソナルスタイリストとは違う、というのは考えるまでもなく自明のことですね。
私が思う、販売員さんとは本質的に違うパーソナルスタイリストの特徴は
- 今、お客様が抱えているファッションに関する問題を解決する
- お客様がファッションに対して求めることを実現する
これらを目指してコーディネート提案するかどうかだと思います。
お洋服についての悩みとニーズは当然お一人お一人異なります。「おしゃれになりたい・おしゃれと言われたい」「体型をカバーしたい」「着回しが苦手なのでできるようになりたい」「ファッションのことは考えたくないので専門家に丸投げしたい」などなど、ご要望はお客様の数だけあります。
「ファッショナブルな服を着たい」「今はやりのブランドの服を着たい」というご希望でしたら、初めて会った販売員さんにコーディネートしてもらうことで叶えられるかもしれません。
けれども、あなたは今どんなお洋服を持っていて、どんな色やテイストが好きなのか、ご予算はどれくらいかけられるのか、どんなシーンでどんなお立場で着用される服が必要なのか、お洋服を通してどんな自分になりたいのかなどを総合的にヒアリングしてご提案をするのは、服の課題にあなたと一緒に取り組むパーソナルスタイリストの仕事だと思います。
販売員さんとパーソナルスタイリストに優劣はありません。あるのは役割の違いで、双方が協力してお客様を素敵にできる関係が理想だと思います。素晴らしい接客をしてくれる販売員さんに感激し、思わず尊敬の眼差しで見てしまうこともあります。お客様ともども気持ちの良い関係を築いていけたらいいと思っています^_^
◼︎ おわりに
長い記事を読んでいただきありがとうございました。
新型コロナウィルスの影響で、新しい生活様式・ニューノーマルという言葉の通り、ライフスタイルを見直し、自分にとって何が大事かを問い直す局面に私たちは立っています。そんな時勢にどうしたらあなたがハッピーになれるのかパーソナルスタイリストとして一緒に悩みつつ価値を提供できたらと願っています。
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