2018秋冬にスーツをオーダーされたお客様事例のご紹介です。
リピーターのM.Y.様は以前にカジュアルのBEFORE&AFTERにご協力くださったことのある50代の女性です。
以前の記事はこちら本当に似合う一軍の服でワードローブを再構築中 です。
M.Y.様は、一度ご案内したオーダーシャツの着心地と使い勝手の良さに感動されたことがきっかけでスーツのオーダーに興味を持ってくださいました。スーツを作るのに良い時期を検討してオーダー屋さんに同行させていただきました。普段着ておられるBEFOREのスーツはお持ちでないため、AFTER写真のみとなります。
骨格診断ストレートで、脚が長く細いためスーツがお似合いの体型です。これまでも既製スーツのスタイリングはこれまでも何度かさせて頂いたのですが、今回のオーダースーツはそのどれよりもメンズライクでかっちりとした印象です。
スーツは柔らかく上質なイタリアの生地で、ネイビーのグレンチェックになっています。遠くからは無地に見える控えめなところが上品ですね。インナーにお召しのシャツも追加オーダーしたものです。このところダブルのジャケットが流行中なので少し迷われましたが、トレンドが終わっても長く着られるものが良いということでシングルにしました。
お手持ちの個性的な靴(こちらもオーダー品だそうです!)がスーツと合わせると素敵です。
インナーをシャツから滑らかなニットと4連のネックレスに変えてみました。小物やアクセサリーをフェミニンなものにするとスーツとのコントラストができて女性らしさが引き立ちます。
ポケットチーフと一緒の裏地は、角度によってブルーに見えるオレンジ色です。
立ち姿もきまってます!
■パーソナルカラーを生かした生地選び
M.Y.様のスーツを選びのポイントは生地の選択だったと思います。ご本人にも一目で気に入っていただけたイタリアのロロピアーナという高級生地メーカーのもので、色もM.Y.様にお似合いでした。
スーツはワンピースやドレスと同じく体を覆う面積が大きいため、肌色に合う色、似合う色を選ぶことの影響は大きいです。パーソナルカラー診断結果をお持ちの女性は多いと思いますので、その知識を使ってみてください。その際
ブルーベース(サマー・ウィンター)→ネイビー、グレー、黒
イエローベース(スプリング・オータム)→ベージュ、茶
といった「何色か」という判断だけではなく、ネイビーやグレーの基本色の中で、ご自分のベースカラーに合う色味を見極めることの方が大事です。(イエローベースであってもベージュや茶色のスーツは好みが分かれるところですので・・)
M.Y.様はイエローベース・スプリングですので、今回お作りになったスーツはネイビーですが、イエローベースに似合う紺色です。一つ前の記事でご紹介しました林宏治様(ブルーベース・ウィンター)のネイビースーツと並べてみましょう。
違いがわかっていただけるでしょうか。同じ紺でも左側よりも右側が濃い、色の濃淡の違い。それだけでなく、右のミッドナイトブルーに対して、左の方は黄色味が混じっているややグリーンによった紺です。これがスプリングタイプのM.Y.様にとてもお似合いでした。
女性の場合は、スーツをオーダーするということが、男性よりも更にハードルが高く感じられることかもしれません。最近は3万円台からパターンオーダーができるというチェーンやお店がレディースにも拡大されてきて間口が広がっています。お会いする方から「ああいうスーツ屋さんはどうなんですか?」と質問されることもあるので、皆さん気にはなっているけれど、どんどん利用されている訳ではないのだろうと思います。確かにオーダースーツで、自分の希望どおりのものに出会うまでには結構なハードルがあるように思います。
■オーダースーツの難しさ
まず前提としてオーダーだから体にぴったり合うものが確実にできる訳ではない、ということ。
えっ!オーダーなのに?!と思われるかもしれませんが、そうなんです。
一つは3万円台からのスーツ屋さんで売られているのは、一人ひとりの型紙から作ってくれるフルオーダーではなく、あらかじめ決まった型から肩幅や丈を調整する「パターンオーダー」と呼ばれる種類のスーツです。どの箇所をどれくらい調整することができるかは、そのスーツ屋さんの方針と採用しているパターン(型紙)、採寸する人(フィッター)のスキルやポリシーによります。
ですから、一口にオーダースーツと言っても、そのクオリティと仕上がりには非常にばらつきが出てきます。それは一般の方が想像する以上に大きいものです。M.Y.様はスーツは初めてですが、シャツのオーダーは以前に別のお店でしたことがあるそうです。ご本人の言では、今回のテイラーさんのシャツは
着心地が良いし、肌触りも良く、こんなに違うものかと思いまし
た。
良く分からずに自分でオーダーしたシャツとは全然別ものでちょっと後悔するくらいです。
というご感想。フィッターの技術と裁量には個人差があり、一枚のシャツが「全然別もの」になってしまうほど大きいのですね。Y.M.様のご感想が示しているのは、良い作りのお洋服を着てみるまでは、そもそも何が良いものなのか、という判断もできないのが普通。オーダーについては知識もあまりないため、
鏡を見ても何だかピンとこないけど、こんなもんなのかしら?
と納得してしまうことってありませんか?スーツオーダーではこの状況って起こりやすいと思います。本当にぴったりなスーツの着心地というのを体験したことがない方も多いですから。失敗しないためには、確実な情報収集をして良いテイラーさんに出会うことがすべてといっても過言ではないほどです。
これを言うと身も蓋もない感じもしますが・・オーダースーツは安くても3万円ですから、いろいろなお店で試してみて好みのところを選ぶ、ということが簡単にはできません。費用も時間もかかり過ぎてしまいます。それはスタイリストの私たちにとっても同じこと。そのスーツ屋さんが作っているサンプルを見せて頂ければ、判断できることも多いですが「縁」という運だよりの部分がどうしてもあります。ですから、信頼のおける方や専門家の方から紹介していただいた技術のしっかりしているテイラーさん、レディースのお洋服のことをよく理解してくれているテイラーさんとの出会いは財産だと思っています。
さて肝心のM.Y.様のその後ですが、こんなご報告をいただきました。
パンツがとてもはきやすくて良くはいています。スーツとして着るより、単品で着る方が多いです(^^)アイボリーのニットと合わせるのが気に入っています。気楽にどんどん着たいなと思います。
上等のスーツなので普段使いには、と思われるかもしれませんが、M.Y.様が単品づかいでもどんどん着る!とおっしゃっている理由の一つは、やはり「着心地」と「見た目」の両方が優れているからだと思います。そのどちらかが欠けるとお洋服って手が伸びなくなるんですよね。
高めのハードルを超えてでも、体に合った、あなたに似合う上質なスーツを着ることは、とても素晴らしい体験をもたらしてくれます。
会社の役員となられたM.Y.様、いつも素敵な笑顔を見せてくださりありがとうございます!
M.Y.様のご利用くださったメニューはこちらです。
パーソナルショッピングコース
この記事へのコメントはありません。