パーソナルスタイリストの髙尾香織です。
コロナウィルス流行から、更新が少なくなり髙尾は活動をしておるのか?と思われる方もおられるかと思います。延期や中止になったお仕事も多々ありましたが、これまでになかった新しいお仕事も沢山いただく有り難い日々です。
それを振り返り少しづつご紹介していきたいと思いますが、この2年間で一番の大仕事だったのが声優・関智一さんのスタイリングでしたので、まずはそのレポートを♪
関智一さんを知らない方のための予備知識
『ドラえもん』スネ夫役をはじめとして、『鬼滅の刃』不死川実弥、『妖怪ウォッチ』ウィスパー、『呪術廻戦』パンダ、『ダイの大冒険』ハドラー、『PSYCHO-PASS』狡噛 慎也など、有名作・大作の出演にいとまがなく人気・実力共にトップレベルの声優さんです。近年ではテレビ朝日「声優パーク メタバース部」のバラエティMCや、地上波ドラマへ俳優としての出演が増え八面六臂の活躍をされています。特撮ヒーロー作品にも声の出演多数。
なぜこんなにも有名人の関さんをパーソナルスタイリストの私がするのか?と、訝しむ方もいらっしゃることでしょう。
その理由は・・・・私が関智一さんの大ファンで、関さんの運営するオンラインサロン「トクワタ」のメンバーとして活動に参加する中で、ご本人にオファーをするチャンスを得て幸運にも受け入れていただいたんです。なので、これは「お仕事」というよりも「推し事」かもしれません。
私は、メディア向けのスタイリストさんとは異なります。タレントさんや俳優さんが、テレビ出演やドラマ、映画の舞台挨拶などをするときの衣装として、ブランディングやキャラクターイメージにぴったり合わせたコーディネートをするスタイリングは見るのが大好きで、それをされるメディアスタイリストさんはリスペクトしています。
一方で、私はパーソナルスタイリストとして、どちらかというとプライベートでお召しになってもらうお洋服をご用意する立場です。ですので、関さんに対しても、一般のお客様へのスタイリングと変わりなく、手堅く、取り組ませてもらいました。
推しにカッコいいファッションでキメて欲しい!というオタクとしての願望だけでなく、関さんに「使える」「着たい」と思ってもらいたいという、パーソナルスタイリストとしてのスタンスとの両立を目指しました。
そんな経緯でご提案したのは、関さんに着てもらいたいと思い続けてきた、テイラーメイドのデニムスーツです。ご職業柄、堅いスーツは着る機会があまりないだろうというのと、デニムスーツならば関さんの好きな特撮やキャラクターのTシャツ、スニーカーなどと合わせてカジュアルダウンが可能、シャツにネクタイをすればドレスアップも可能、でプライベートで使ってもらえる幅が広いと思っての判断です。実用性も重視するのがパーソナルスタイリストの特徴といえるでしょう。
半年前の2022年4月1日に、いつもお世話になっているテイラー YOSHIDAYAさんで関さんのオーダーをサポートいたしました。髙尾もうドッキドキです。
店主の吉田さんから、たくさんあるデニム生地やボタンの説明を受ける関さん。スーツをオーダーするのは初めてとのことで、真剣に聞いてくださいました。
ポケットチーフなどは関さんの好きなオレンジ色にしようと話が進んだ時、それならこの生地はどうですか?とフィッターの吉田さんが見せてくれたのがこちら。
これは生地の裏側です。表側は濃紺のインディゴですが、裏側にオレンジの系が使われているので、経年変化により擦れた部分や当たりなどに表側にもオレンジ味が出てくるというお話でした。また、こんな変わった生地は毎シーズン出るわけではないので、これも「出逢い」とこちらの生地を選択することに。
上着の内側に貼る裏地はオリジナルのものを製作させていただきました。絵柄は、特撮マニアの関さんが20余年前に創作されたオリジナル特撮ヒーロー「銀河ロイド コスモX」です。2001年には関さん主演で映像化もされています。そのコスモXをモチーフにしたかったので、DVDとコミックを購入し研究しました。
グラフィックデザイナーさんにお願いして、3パターンのデザイン案をご用意しました。
上はご提案書の一部です。この中から関さんが選ばれた《案C》を改良し、出来上がったのが下です。
小ロットから受注してくれるプリント業者さんに発注して、オーダーの日までに完成しました。
さて関さんの採寸です。微動だにしない寡黙な関さんは、テレビではあまりお目にかかれないかもしれませんネ( ´∀`)
吉田さんの凄く細やかなピン打ちに、やはり直立不動の関さん(笑)
プロの技を体験して興味を持ってくださったのでしょうか、採寸後関さんが、近々出席されるという結婚式に出る時のスーツをオーダーもできないか訊かれました。残念ながらその時点からでは納期が間に合わなかったのですが・・・・試しに、と吉田さんのサンプルスーツを着させてもらったところ、ぴったり。
偶然、関さんと吉田さんの体型・背格好がかなり近かったのです。
シャツとネクタイも結婚式に相応しいものを着けていただいて・・・・
結婚式用一式を貸し出してもらうことになりました。めでたしです!
ところで、この日の私のコーデは「オタ活モードのスタイリスト」です。
私が関さんを知った最初のキャラ『鬼滅の刃』の風柱 不死川実弥のTシャツに、YOSHIDAYAさんで作ってもらったデニムジャケットを合わせました。
ボトムはティアードスカートで、マニッシュ&フェミニンのテイストミックスにして持てる力を出し切りました。オタクとしてもスタイリストとしても全力で(>w<*
推しの関さんとこんな至近距離でご相談やお話をできるなんて、私は内心ずっと緊張しっぱなしでしたが、無事オーダーは完了。とっても素敵なスーツができると確信しています。
最後にYOSHIDAYA 吉田宗由さんと記念撮影。こんなことに気楽に応じてくれるのも「すべての人に神対応」の関さんだからこそ・・ファンというだけでは、普通はスタイリングさせてもらえませんよね(汗)胸いっぱいになったオーダーアテンドでした。
今回の企画には数多くの方々のご協力とご厚意がなければできませんでした。
- グラフィックデザイナー 堀井大輔さん(Sunny graphic design)
- 弁護士 福岡祐樹先生(中嶋法律事務所)
- フィッター 益子将輝さん(YOSHIDAYA)
それから、いつも素敵なスーツを作ってくださるYOSHIDAYA 吉田宗由さんに、心から感謝です。人のご縁の不思議さと素晴らしさを感じたスタイリングでした。
最後にその素晴らしいYOSHIDAYAさんの宣伝をさせてください。去る9月20日に発売されたMEN’S EX AUTUMN号に、吉田宗由さんと、そのお父様の吉田勲さんが親子のテイラーとして特集掲載されております。創業者のお祖父様から数えて100周年だそうです。とても素敵な記事なので、見かけたら手に取って見てみてくださいね。
《後編》では仕上がりをご披露しますので、どうぞお楽しみに♪
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