パーソナルスタイリストの髙尾香織です。
いきなり、骨格診断を批判しているかのようなタイトルをつけてしまってゴメンなさい。誤解されてしまうと申し訳ないので最初に但し書をさせていただきますと・・・骨格診断=おしゃれじゃない、ダサい、という主張をしたいわけではなく、骨格診断を受けてもおしゃれなれない方がいるとしたらそれはなぜなのかを解き明かし、おしゃれに近づくための考え方と方法を提案するのがこの記事の目的です。
というのも、このホームページで一番多くの人に読んでいただいている記事が
なんです。
最近は骨格診断をユニクロなど大手のアパレルメーカーが採用して服選びの特集が組まれたりして、ファッション系診断はますます身近なものとなっています。それでもこちらにアクセスされる方の多さを見ると、似合う服が買えるようにはならなかったり、おしゃれに関するストレスを感じる方も依然として多くいらっしゃるんだなぁ、と感じています。
それを踏まえた今回の第二弾では、骨格診断などファッション系診断を利用しても似合う服が買えない人、もっと言うと、診断を受けたのにおしゃれになれない方がいるとしたら何故なのか、パーソナルスタイリストの私から見た根本的な理由を解説していきます。
(1) 診断結果が間違っている
骨格診断を受けてもおしゃれになれない理由として、まず思いつくのはこれではないでしょうか。
今では、骨格診断は自己診断ができるように、いろんなウェブサイトで診断のチェック項目が公開されています。けれども、骨格診断は特に、自己診断が難しいことは否めません。
それから、複数のタイプの特徴を併せ持つミックスタイプのような方もいらっしゃいます。ある部分ではストレートタイプ的なのに、別のところはウェーブ的、というような方ですね。そういった人は診断する側がプロであっても意見が分かれることもあります。(参考記事:私はウェーブ?ストレート?紐解いてもらって本当にスッキリしました!)そのような典型的なケースから外れる方にとっては、タイプがミックスという結論は得られたとしても、そのミックス状態を服の選び方にどう反映させればいいのかまで教えてもらえないと服選びは難航します。
(2) 顔タイプ診断やパーソナルカラー診断の影響を考慮していない
骨格診断は、首から下の体の特徴だけを見て似合う服を診断するものですので、顔立ちや肌の色に似合うかどうかはまた別に考慮しないといけないことです。骨格診断が同じストレートタイプであっても、米倉凉子さんの顔と上戸彩さんの顔で似合う服が同一という状況は考えにくいですよね。これは顔タイプ診断という一番新しいファッション診断の登場以前から、パーソナルスタイリストはもちろん賢明なファッショニスタの方々は気づいていたのではないでしょうか。
もっと昔からあるパーソナルカラー診断も同様です。色というのはファッションを構成する一要素ですから、カラーだけに着目して服選びをした結果トータルでおしゃれになれていない人が続出しました。
このように、骨格、顔タイプ、パーソナルカラーの各診断は、一人の方の外見的な特徴の違った側面を捉えていて、どれが正しい、間違っているというものではありませんので、骨格だけでは「似合う」についての総合的な結論は出せません。同じく、カラーだけ、顔タイプだけも、その診断結果のみを見て似合う服に出会えると思うと失望することでしょう。
このことは下の記事の中で詳しく書きました。
さて、骨格診断を受けてもおしゃれになれない理由として、ここまで書いた二点
- 診断結果が間違っている
- 顔とカラーの診断結果が入っていない
は、理解していただきやすいかと思います。もしこれらが原因で「おしゃれ」にたどり着けていない方ならば、骨格、顔、パーソナルカラーの全部で正しい診断結果を得られれば問題解決ということになります。
けれども、話はそう簡単ではありません。実際に私のお客様の中にも他社の診断結果を持っていらっしゃる方がいらっしゃるのですが、診断されたタイプが間違っていることは少ないんです。それでもなお、その方々が弊社にご相談に来てくださるということは、ファッションに関する悩みは解消されていないのですよね。
そんな風に、診断を受けてもおしゃれ迷子から抜け出せていない理由は、パーソナルスタイリストの私から見ると根本的には別のところにあります。
(3) 診断結果を実際の服選びに落とし込めない
一つめの大きな理由がこれです。
診断結果を実際の服選び(買い物)につなげるには「◯◯タイプはこんなデザインのスカートが似合います」といった情報だけでは感覚的にわからないことが多いです。以下の記事に詳しく書きましたので心あたりのある方は読んでみてくださいね。
(この記事のポイント)
- 骨格診断は自己診断が難しい
- ミックスタイプをどう扱うか
- 実際の買い物に落とし込めて初めて「使える」
この点でいうと、パーソナルカラーの診断結果は使うのが簡単です。着目するのが色だけなので、求める色の服があるかどうかすぐに判別しやすいんですね。カラー診断というものを初めて受けた後の私もやっていましたが、自分に似合う色のカラーチップなどを持ち歩いて、店頭でお洋服の色と見比べてみれば一目瞭然です。それを続けていれば、見本がなくても自分に似合うタイプの色を感覚的に判別できるようになっていきます。
けれど、骨格診断では、デザインと素材が着目点です。カラーなら服の一部を見ただけで判定ができますが、デザインって全体を見ないとわかりませんから、素材も含めて一目で選別することは、プロでなければ現実には難しい場合があります。
それから、現実問題としては、骨格診断的に似合う服はどこに売っているのか、それも自分の予算で買える範囲のショップが分からない、単純に知識がないということもあります。
(4) 骨格診断でフォーカスされるのは「個々の服」の選び方
骨格診断に関する一般向けの書籍は数多く出版されていますが、診断の各タイプ別に示されるのは、似合う服、選ぶべきバッグや靴、アクセサリーなどのアイテムの写真が中心です。骨格別に「買うべきベストアイテム一覧」が入っている本もあります。これはとても便利でありがたいものですが、服やバッグの選び方を間違わないことと、おしゃれになること、は残念ながらイコールでは繋げません。
なぜかというと
- 個々の服や小物を組み合わせてコーディネートする
- そのトータルコーディネートを実際に着こなす
少なくともこの二つのプロセスをクリアして初めて「おしゃれな状態」になるからです。
料理に例えると、骨格診断のタイプにマッチする服やアクセサリーをひとつひとつ選ぶことは、良い食材を選んで買ってくることにあたります。その食材をおいしい料理にするためには、食材をランダムに集めるだけではダメで、レシピと調理の技術が必須ですよね。
料理とおしゃれの類似点を書いてみると
食材を選ぶ = 服やバッグ、靴、アクセサリーを選ぶ
レシピ = 組み合わせ(コーディネート)のやり方
調理の技術 = ファッションセンス、着こなしのスキル
いい食材を買っても、美味しい料理が食べられるかどうかは、他のどんな材料と組み合わせてどう調理するか(どんなレシピを使うか)と、それを実行できるだけの調理の技術(包丁や火の使いかた、味付けのセンス等)を持っているかどうかにかかってきます。
ファッションの場合も同じで、ひとつひとつの服がどんなに似合うものであっても
- それらを組み合わせて素敵なコーディネートにする
- そのコーディネートがトータルであなたに似合っているかどうかを見極める
この二つができないと、目標となる「おしゃれな状態」にはたどり着けないんですね。
言葉にしてみると当然のことなのですが、こう考えてみると、骨格診断の本の帯に書かれているコピーのように「これさえあればもう服に迷わない」「センスがなくても今すぐおしゃれになれる一生モノのスキル」等というのは、少しばかり誤解を生む宣伝文句のように思います。
パーソナルスタイリストとして私が正確に言いかえるなら、センスとコーディネート力という土台がある人ならば、確実に、今すぐおしゃれになれる、というのが誇張のない真実だと思います。料理の技術はあるけれど、食材選びが間違っていた人、つまり、センスはあるけど似合う服の選び方に難点があった方ならば、骨格診断の結果を早く使うことができファッションがすぐに劇的に改善するということはあり得ます。
やっぱりセンスがないとダメじゃん!と思われたおしゃれ迷子の皆さん、夢も希望も無くならないでくださいね(汗)
*
それでも骨格診断が画期的で、誰にでも使える便利なツールであることは間違いありません。この診断が登場する前(パーソナルカラー診断は普及していたものの)自分に似合うアイテムを選ぶこと自体を感性頼りでするしかなかったのですから。センスがなければおしゃれはできないと皆が考えていた時代に比べれば、骨格診断というファッション診断は「誰でもがおしゃれになれます」と宣伝したくなるほどにインパクトがありました。
素晴らしいレシピと調理のスキルを持っていても肝心の食材がなければ料理は成立しないように、自分に似合うアイテムを知ることは、おしゃれになるためには不可欠なベースです。
別の言い方をすると骨格診断(によって似合うアイテムを知ること)は、おしゃれになるための十分条件ではないけど、必要条件であるといえます。
だいぶ堅苦しいので(笑)さらに言い換えますと、最初の一歩だけではゴールには着けませんが、その一歩がなければスタートだって切れないんです。そのはじめの一歩として骨格診断を選んで、似合う服の素材やデザインを知ることは、とても有効だし賢い手段だと思います。こういう理由で、弊社で開催しているセミナーのベーシック講座では骨格診断を全員に受けてもらうというカリキュラムにしています。
◼︎骨格診断は「おしゃれの結論」ではなく「出発点」
骨格診断を出発点として、私がおすすめしたいのは
- 骨格診断を使って自分の体の特徴を知ること
- コーディネート力を磨くこと
これは、各骨格タイプの「マストアイテム」を買いに走ることに比べれば、すぐに結果のでること、即効性のあることではないと思われるかもしれません。けれども、3年後のあなたが自分らしい魅力を活かした素敵なファッションに身を包んでいることを考えるなら「今すぐ何を買うか」よりもずっと大事なことなんです。
骨格診断を受けた後、買うべき服をよく見ることと同じくらい大事なのが、あなた自身をよく見つめること。ちょっと観念的に感じるかもしれませんね。ですが、時代や流行は移り変わり、選ぶ服も変化してゆく宿命ものですが、あなたの体はずっとあなたのもとにあります。加齢による変化も含めて、自分の体はこんな特徴があるから、こんな形の服を着ると素敵になれる、という核心を掴むことができたら、それこそがあなたにとっての一生使える服選びの法則になります。
センスは一朝一夕で身につくものではありませんが、骨格診断を手がかりにしてコーディネート力を鍛えることもできます。
◆コーディネート力を上げる骨格診断の本や雑誌の見方
そのために、骨格診断のことが書かれている本や雑誌でお勉強する際に注目していただきたいことが、「どんな服を選ぶか」ではなく「どんなポイントで服を着ているか」です。
骨格診断の本や雑誌の特集では、各タイプごとのおすすめのコーディネートが載っています。イラストを使って描かれていたり、服とバッグや靴を組み合わせた写真(いわゆる置きコーデ)で掲載してあるものが多く、そのコーディネートのポイントも一緒に解説されていますよね。
そのポイントは(1)骨格診断的観点からの似合う・似合わない点、(2)コーディネート上の観点から素敵にするための合わせ方、が混在していることが多いです。書かれていることが、二つのうちどちらの観点からのものなのかを見極めてみてください。例えば
“ストレートタイプが得意の綺麗めパンツコーデ” → 骨格診断的ポイント
“ぼんやりした色合いのコーデには、締め色のベルトを” → コーデのテクニック
“シルクの柄スカーフを巻けばシンプルなコーデに華やかさが。Iラインも生まれます” → コーデのテクニック
“カジュアルスタイルにはきちんと感のあるバッグや靴を合わせて” → コーデ・骨格両方
(二神弓子著『(骨格診断×パーソナルカラー)本当に似合う服に出会える魔法のルール』pp.112-115より抜粋)
以上はストレートタイプのおすすめコーディネートに書かれていたポイントです。どっちのことを言っているのかな、と考えることで、自分にとって大事な点が見えやすくなります。
その際、骨格診断の観点から書かれている部分は守った方が素敵に見えることが多いのですが、コーディネートに関しての部分は自分の好みでなかったり、あなたのワードローブにこれからも入りそうにないものはスルーしてOK。そうやって、ご自分にとって必要な部分とそうじゃない部分の取捨選択も、自分らしく素敵になるためには大事だと思います。
こうしてポイントを言葉にして書いてくれているのが、骨格診断の本や特集のいいところです。このポイントの選別に慣れてきたら、次は普通のファッション誌を見ながらやってみると良いですよ。ファッション誌は骨格の観点からのポイントが書かれているとは限りませんし、コーディネートの説明自体がないページも多いですが、説明を自分で書くつもりで眺めてみると、コーディネート力は確実にアップします。
◼︎まとめ
長文をお読みくださってありがとうございました。今日のまとめです。
- 骨格診断を受けてもおしゃれになれない理由:誤診 または ミックスタイプの可能性
- 本当の理由1:診断結果を服選びに落とし込めてない
- 本当の理由2:個々の服選びに注意しているが、コーディネートが疎かになっている
- 骨格診断はおしゃれの結論ではなく出発点
- コーディネート力を磨くために「似合うコーデ」のポイントを見極める練習を
以上のことは、骨格診断だけではなくて、パーソナルカラー診断、顔タイプ診断を受けたけれどおしゃれになれてない、と感じている方には概ね共通するとおもいます。ご参考にしていただけると幸いです♪
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