パーソナルスタイリストの髙尾香織です。
当サイトの骨格診断関係のコラムは執筆以来たくさんの方々に読んでいただきありがとうございます。最初に書いたのが2018年ですので、6年以上経過していますが、骨格診断で悩む方がいる一方で、診断ブームはいっときで止むどころか、今ではアパレル通販サイトで当たり前のように骨格やカラーが出てくるようになりました。私の大好きなあのメーカーも、このブランドも、スタッフコーディネートとともに骨格とカラーが着る方の身長に併記されています。すごく参考になるなぁと感心しています。私もオンラインで服を買う際、大いに使わせていただいています。
そのような隆盛を誇る骨格診断ですが、診断結果が好みに合わずに戸惑う人、結果は分かったけれどご自分の服選びにどう生かしていいかわからない人も、依然として大勢いらっしゃるようです。診断を受ける方という分母が拡大したのだから当然のことかもしれませんね。
6年前にはなかった流れとして、診断を軸にファッションアドバイスをする診断士さんやスタイリストさんも増えました。
また以前は、骨格診断に忠実派 VS 好きな服を着る派 の構図がありました。骨格診断から導かれる服を守ってファッションの正解を追い求める人と、そんなの関係ねー!とばかりに、自分の好きな服を着ちゃう派。そういったスタンスの違いは、個人がファッションに何を求めるかによって変わる相対的なものです。対立するということ自体にあまり意味がないのですね。そういったものも、流れとして少なくなってきているように思います。
6年ぶりのこのコラムでお伝えしたいのは、骨格診断は本来、私たちを縛るためのものではなく、自由にしてくれるツールだということです。骨格診断の基本的な考え方と、これほどまでに支持sあれているはなぜなのか、本質的な目的からおさらいしつつ、わかりやすくお伝えしていきます。
(1) 改めて、骨格診断とは?その本来の目的
私が初めて骨格診断に出会った11年前、信頼のできる人から、詳しい理論を教わった第一印象は
「なんて便利なんだ・・・!」
という感動。目から鱗が落ちる思いでした。これは主に、パーソナルスタイリストとしての観点での感想です。スタイリングする際に、まず体型を3タイプに分けて考えるというやり方は画期的でした。それとほぼ同時に
「この部分は一概には言えない。うまくいかないケースが出てくるのでは・・?」
と、感じるところもありました。スタイリスト活動を開始して1,2年ほど経った頃でしたが、すでに現場でのスタイリング経験から疑問に思う「ルール」がいくつかあったのです。けれども、それを勘案してもやはり、骨格診断を知りスタイリングに活用する意味は大きいと思いましたし、今もそう思っています。
ただ、その頃に習った骨格診断は、タイプ分けに基づいて、似合う服や小物を当てはめていくという手順が主流でした。ウェーブタイプと診断された私自身、その狙いに沿って、ウェーブに似合うとされているアイテムを買って着てみるという試行錯誤しながら、お客様に「似合う」を説明する際にも、お洋服をお選びする際にも、大いに利用してきました。その結果、骨格診断の勘所は、個々のアイテム選びではないところにあるという結論に至っています。
次のセクションからは、骨格診断3タイプの基本をご説明しながら、その本質についてお伝えします。
(1-1) 骨格診断の基本3タイプ分類
骨格診断とは、生まれ持った骨や筋肉、脂肪のつき方、関節の大きさ、肌の質感など、身体の「質感」と「ラインの特徴」から体型を3つのタイプに分類し、最もバランス良く見えるファッションの傾向を導き出す理論です。
代表的な分類は以下の3タイプです:
ウェーブタイプ: 華奢で柔らかな印象。曲線的・装飾的なデザインや軽やかな素材が似合う
ナチュラルタイプ: 骨格がしっかりしていてフレーム感がある。ラフで動きのあるファッションが映える
この診断は年齢や体重に左右されず、簡単には変わらない身体のつくりをベースとしています。
(1-2) 本当の目的は「似合う服リスト」ではなく「体型を客観的に知ること」
「似合う服がわかるようになる」——骨格診断を知るきっかけとして、よく聞く言葉かもしれません。でも実は、骨格診断の根本は「自分の体型を客観的に知る」ことにあります。
スタイルがよく見えるバランスとは何か
どんな服が自分の体を引き立ててくれるのか
これらを理解するためのものです。これは、一つひとつの服やアイテムがあなたのタイプに似合う/似合わない を判定するためのものとは違います。まして「流行りの服を着る」とか「センスをよくする」ための情報とも無関係です。
服を判断するためには、自分自身の体のどこに注目すればいいのかを教えてくれるのが骨格診断なのです。
たとえば「首が短め」「腰の位置が高い」「肌にハリがある」など、自分では気づきにくかった身体の特徴を知ることで、「似合う服」と自分のつながりが見えてくるんですね。骨格診断を受けるまでは、こういった特徴に気づいていなかった、そういった目で自分の身体を判断しなかった方がほとんどです。そこがとても大事なのです。
例えば、ウェーブタイプの私は「華奢で体の厚みが薄い」「バストトップが低い」ので胸元も貧相に見えがちでした。そこで、上にある分類に従って曲線的で装飾的なデザインや軽やかな素材のものを着てみます。
この例では、柔らかい素材のワイドパンツに、胸元をボリュームアップしてくれるギャザーが入ったブラウスを着ました。ウェーブ体型は「くびれ」が比較的はっきりしているという強みがあるので、ウエストラインが出るよう、ブラウスを中に入れて着こなしています。こうしてチャームポイント→強調する服、気になるところ→カバーする服と、体型→服の特徴の因果関係として考えていきます。
(1-3) 骨格診断がこんなに支持されているのは、なぜ?
骨格診断がこれほど多くの人に支持されているのは「あの感覚は、間違っていなかった」と教えてくれるからかもしれません。なんとなくしっくりこなかった服。なぜか垢抜けなかった着こなし。その理由が、理屈でわかるとスッキリします。
それから「センスがないから、おしゃれがうまくいくはずない」「歳をとって太ってきたから何を着ても似合わない」以前ならそんなふうに考えてしまっていたところを、骨格診断の視点を取り入れると「似合わない」の正体が少しずつ見えてきます。似合わないのは太っているからとは限りません。服の素材やシルエットが自分の骨格に合っていなかったという可能性も大ありです。実際、似合わない服→スタイルが悪いからではなく、似合わない服→体型との相性が悪いことがとても多く、それが骨格診断で明らかになるんですね。
「こうすれば、もっと素敵になれるんだ」
自分の特徴を理解することで、きっと、こんな風に思えるようになります。その視点の変化が「自分らしい素敵」への第一歩。誰かと比べることなく、自分だけの基準でおしゃれを楽しめるようになる。そんな変化をもたらしてくれるきっかけになると、私は思います。
また、骨格診断で得られる知識は、年齢や流行に左右されず、長くあなたの味方になってくれます。その結果
流行に流されすぎない
クローゼットの整理がすすむ
服選びのストレスが減る
自分に合ったコーディネート、着こなしに応用できる
一時的なテクニックではなく、ずっと使えるおしゃれのガイドラインができるのが骨格診断の最大のメリットのひとつです。
(1-4) 骨格3タイプの特徴と自己診断について
「自分は何タイプなんだろう?」と思う初心者の方のために、ここでは、ストレート・ウェーブ・ナチュラル、それぞれの骨格タイプの特徴を簡単に紹介します。診断を受けたことがある方も、おさらいしてみてください。
◼︎ストレート・ウェーブ・ナチュラル各タイプの身体的特徴
ウェーブタイプ:鎖骨が目立つ/上半身が華奢/バスト位置が低め/ウエストのくびれが強い/肌が柔らかく、筋肉より脂肪がつきやすい
ナチュラルタイプ:骨格がしっかりしていて関節が目立つ/フレーム感があり、肩幅が広め/手足が大きい/筋肉や脂肪に偏らない中性的なバランス
◼︎自己診断ってできるの?
書籍やネットにも、骨格セルフチェックのためのツールがたくさん出ていますが、おおむね上の各項目をYES/NOで選択していく方式です。
パーソナルスタイリストとしての私の実感としては、実のところ、自分だけで自分の体を客観視するのはとても難しいと感じています。
鎖骨の出方や肌の質感など、他人と比較したことがない
自分に都合の良い方向に解釈してしまいがち
写真や鏡だけでは判断しにくい項目が多い
こうした理由から、実際の現場では「自己診断がうまくいかなかった」と感じている方が少なくありません。それでも自己診断に意味がない、ということではありません。「これってどういうことなんだろう?」と思ったら、それが第一歩。自分の体としっかり向き合うことが最初のステップです。そして、その先の“本当に似合う”を見つけるには、やはりプロの視点が大きな助けになると私は考えています。
◼︎各タイプの似合うファッション例(一部)
ウェーブタイプ:柔らかい素材のブラウス、ハイウエストボトムス、レースやフリルなど曲線的な要素
ナチュラルタイプ:ざっくりニット、ロングジレ、ワイドパンツなど、ラフでこなれ感のあるデザイン
骨格診断の書籍や、タイプごとに似合う具体的な服の情報はウェブにもSNSにも溢れていますので、ぜひ調べてみてください。その際「私はこのタイプだから絶対これ」ではなく「なるほど、こういう傾向があるんだな」と軽く受け止めることがポイントです。
▶︎ストレートタイプのコーデ例
▶︎ウェーブタイプのコーデ例
▶︎ナチュラルタイプのコーデ例
骨格診断をどう使うかという視点と詳しい考察は、私の過去の記事でもご紹介しています。ご興味のある方はご覧くださいね。
「何を着てもピンとこない」「いろいろ試しても正解がわからない」——そんな“おしゃれ迷子”になっている方に、骨格診断は大きなヒントになります。
似合う基準が明確になることで、服選びに自信がついたり、試着の段階で判断しやすくなったりします。つまり、自分で考え、選び、工夫する力がつくのです。
また、大人のおしゃれ初心者の方への最初の一歩としても最適です。おしゃれをしたいと思っても「土台」がないので指針がない。どんな服が好きかも経験不足でわからない。そんな状態で「憧れのスタイル」に飛びこむのは、リスクの大きな賭けになってしまいます。そんな初心者の方には、まずは骨格診断を受けてみる、というのがおすすめです。
(2)骨格診断についてのよくある誤解
以上のとおり、骨格診断はとても便利なツールですが、その使い方を間違えてしまうと、かえっておしゃれを難しくしてしまうことがあります。ここでは、よくある誤解や落とし穴を取り上げながら、もっと自由で心地よいおしゃれのためのヒントをお伝えします。
(2-1)「診断結果を守る=おしゃれ」ではない
「私はストレートだから、これは絶対NG」「ウェーブなのにワイドパンツを着るなんて…」そんなふうに、診断結果に縛られ、選択肢を狭めてしまっている人がいらっしゃるとすれば残念なこと。
骨格診断は、あくまで分析です。そこに正解も不正解もなく「あなたの体にはこういう特徴がありますよ」という情報にすぎません。それをどう活かすかは、あなた次第です。
むしろ「タイプ通りじゃないけど、意外と似合った!」という発見も、おしゃれの醍醐味。診断結果は絶対ではありません。もし本当に似合わないとしても、あなたが好きな服を楽しく着ることを禁止する権利は誰にもありません。でも、好きな服を、他の人から見ても素敵に着こなせていたらもっと嬉しいですよね。ファッション診断はそうしたいあなたを助けてくれるものです。
(2-2) 3タイプ分類の限界と例外の存在
3タイプの分類は、あくまで、整理しやすい枠組みとして便宜的に用いられているものです。実際には、身体の特徴は人それぞれで、明確にタイプに当てはまらない中間的な方も多くいらっしゃいます。例えば
- ストレートタイプだけど、カジュアルな服も得意
- ストレートタイプだけど、スーツは似合わない
- 上半身はストレート、下半身はウェーブのミックス型
- 体はナチュラルだけど、服はきれいめがしっくりくる
私の12年のスタイリング経験からの超あるあるです。
大切なのは、「どのタイプか」よりも自分の体の特徴をどう理解し、活かすか。枠にはめようとするのではなく、枠を参考にしながら、自分のスタイルを見つけていくことが大切です。
【ちょっと難しい話】興味のない方は読み飛ばしてもOKです!
一部には「骨格診断は理論上、3タイプ以上に分類できない」とする見解もありますが、私自身はその前提には慎重な立場です。というのも「理論上」と言えるためには、それが厳密な定量的理論に基づいている必要があります。骨格診断は非常に有用な実用的メソッドである一方、数値による明確な定義があるわけではないため、そもそも「理論的に3分類以上はあり得ない」と言うこと自体に論理の飛躍があるからです。骨格診断は、医学的・数値的な根拠に基づいた厳密な理論ではなく、観察と経験の蓄積によってできた実用的なメソッドです。診断の際、恣意性を完全に排除することはできません。そして、恣意的要素がある限り、タイプ分けをしようと思えば無数にできる、というのが真にロジカルな結論であると考えます。
私は、便宜上3タイプ分類を採用しています。それは「理論上それしかあり得ない」という理由ではなく「分類を多くしても実用性が下がる」「ぴったり合わない人は必ず出てくるし、その際の細かな分類の枠が余計な混乱を生む」といった実務的な観点からの選択です。
(2-3) 顔タイプ・パーソナルカラーとの関係について
ファッション診断が広く知られるようになった今、骨格診断だけでおしゃれを語る人は少なくなりました。顔タイプやパーソナルカラーなど、他の診断との組み合わせが一般的になり、診断士自身も複数の視点からアドバイスを行う時代です。
しかしその情報が多くなればなるほど、かえって迷ってしまう方も増えています。
私のこれまでの経験からお伝えすると、とくにアラフォー以降の世代にとっては、まず骨格診断の結果をしっかりと理解し、活用することが最も現実的で効果的です。なぜなら、骨格に合ったシルエットや素材感を整えるだけで、ぐっと垢抜けて見えることが多く、年齢による体型の変化にも対応しやすいからです。
もちろん顔立ちや色の調和も大切な要素ではありますが、それらは骨格に合った“土台”ができてこそ活きてきます。すべてを一度に整えようとするよりも、まずは骨格診断を基点にスタイルの軸をつくることで、無理のないおしゃれのステップが踏めると私は考えています。
この点について深く知りたい方は下記の記事を読んでみてください。
◼︎まとめ:骨格診断は、体型に基づく「あなたらしさ」のガイドライン
骨格診断は、「こうあるべき」と自分を縛るためのものではなく、自分の体を客観的に知り、もっと自由におしゃれを楽しむための“地図”のような存在です。
自分の体の特徴を知る
似合う服やファッションアイテムの傾向を理解する
でも枠に縛られず、自分で選ぶ目を育てていく
そんなふうに、自分らしいスタイルを築くガイドラインとして骨格診断を使っていけたら、日々の服選びがもっと楽しく、気持ちのいいものになるはずです。
もし、あなたが今…
診断は受けたけれど、いまいち活かせていない
好きな服と似合う服の間で揺れている
本当に似合うものを、ロジックで知りたい
そんな風に感じていたら、ぜひ一度、自分の骨格タイプの「その先」を一緒に見ていきませんか?私のスタイリングサービスでは、単なる「タイプ分け」ではなく、あなたの体型、雰囲気、ライフスタイルに合った服選びをご提案しています。診断を“スタート地点”として、自分らしく輝けるファッションを一緒に見つけていきましょう。
あなたに似合うスタイルは、診断の先にあります。
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